順番どおりじゃありません。念のため。
■子供時代の葉ちゃん。
大木に向かって「生まれてすみません」というのが切なすぎる。
大木=おとうさん?
葉ちゃんの微笑み
竹一を殴り痛がる竹一を見ながら微笑む。
カフェで、常子が堀木の横に座ったのを見て微笑む。
これらの微笑みが壊れていく葉ちゃんを予見しているような・・
悪友。堀木。
彼は、マザコンか?
お母さんに対するのとお父さんに対する態度が違いすぎる。
ラストの列車の場面でも堀木は両親の前に座るけど、お母さんが嬉しそうな顔をしていた。おとうさんはそうでもなかったけど。
そういう家族なのか。
葉ちゃんと堀木。
お父さんに対する堀木の態度は葉ちゃんには絶対にできない。
そんなこと罪悪感からムリ。
堀木はそうでもなさそう。むしろわざと葉ちゃんに見せてるみたいな。
堀木と坊ちゃん育ちの葉ちゃん(堀木に高級絵の具を盗まれても平気)正反対だけど近い。
お互いないものを持っていてうらやましくもあり憎くもあり。
だから、病院に入るときに堀木が葉蔵に『憎い』と言った時にあの笑いが出たのか。
お酒を呑むのも食事をするのも静か&上品な葉ちゃんだけど、良子の不貞を知った時や自殺を考えたりするときは荒れた呑み方になる。
金魚。
原作には出てこなかった金魚。
堀木の家から静子と一緒に出ていって、二人で金魚すくい。
葉蔵が黒。
静子が初め赤大を、子持ちの職業婦人と言いながら赤小を。
3人暮らしの時は3匹が泳ぐ。
別れてきた時は黒1匹。
店の2階に居候してる間は黒が何匹も泳いでて
良子と結婚したら黒1赤1。
モルヒネ中毒で金魚鉢ごと払い落して、黒死ぬ。
畳の上の金魚をどうするわけでもなく注射を打つ葉ちゃん。
その後うっすらとほほ笑む・・・怖い・・
薬局へもらいにいく葉ちゃん。
寿【女主人】に、「キスしてあげよう」というのに、ゾクッとする。
こんな風に言われたら女はたまんない(と思うのだが・・)
鉄と裸身の葉ちゃん。
死をあらわしてるのか。それとも母親の胎内か。
母親のように甘えられる存在になったのか。鉄が。
ラスト、鉄の笑顔はなにをあらわしてるのか。
葉ちゃんが天国に行くことをか。
列車のなか。
堀木に「5円貸してくれ」といわれ、それまでは、普通になにも考えずに渡していたのに、病院に入るときはあれだけ嫌がっていたのに、焦って渡そうとする葉ちゃんが悲しい。
『金の切れ目は縁の切れ目』というなかで、早く渡そうと必死になっていたのか。つなぎとめようとしたのか。
あくまでも人間臭い堀木と、「人間失格」な葉ちゃんはもう一度つながりたいと思っていたのか。切なすぎる。
堀木からの選別を受け取ってほっとした姿やら・・【現実は投げ捨ててる】
お酒を飲まないと約束したら、絶対に呑んでないと信じる純粋な良子に対し、罪悪感のようなものを持ったのでは。
その良子の不貞に恐ろしいまでのショックを受けた。
「お座り。一緒にそら豆を食べよう」
kの言葉が切ない。辛い。
良子が睡眠薬を隠し持っていたことに気付き、勝手に「自殺しようとしてる」と思い、自分も死のうと飲んでしまった葉ちゃんが切ない。
ここから、壊れていく。
映画だけで行けば。
葉ちゃんは純粋な人。
一般の人よりずっと純真な分、人とかかわるのが苦手で、かかわっていくには自分が道化になるしかなくて。でもそれに対してずっと罪悪感を持っていて。
近寄ってくる女性に合わせようとして。
同じにおいを感じた常子と入水自殺。
静子とその娘といたときは「お父ちゃん」として。
結局娘に「本当のお父ちゃんがほしい」といわれ、ショックを受け家を出ていくんだけど。
良子とはやっていけると思っていたのに夫婦としてダメになり。
お互いが純粋な分オドオドして。
病院でマダムに『良子と別れさせて」
っていうところ。涙が出る。
寿とは、モルヒネを与えてもらい。お酒よりましなわけがないのに。中毒になるのに。
結局、女性に与えられそうなものを一生懸命与えてみようとしたけどどれもうまくいかなくて。それが「人間失格」と自分で言わざるを得ないようになっていって。そんなことないのに。違うのに。
それが、鉄との出会いで、ようやく安心できる場所を手に入れた。
安らげると思ったのだろうか。死もそう遠くはないだろうし。
だから鉄とはリンゴを食べることができたのか。
列車の中で、あんなにいい顔できたのか。
原作にあるマダムの「神様のような子」っていうのは本当だなって。
原作は葉ちゃんの内側を描き、映画は外側を描く。
実際原作の葉ちゃんもピュアな人なんだけど、内側をえぐり取っていってる感じがする。
エンドロール。
あのモノクロ写真は、葉ちゃんの心の中なのか。
子供時代の葉ちゃんと大人の葉ちゃんは笑ってる。それがまた切ない。
ヒラメと一緒の時はかなしそう。
寿との写真はやつれてる&やっぱり悲しそう。
原作を読んで映画をもう一度見たらおもしろい。
原作を読むことを薦めます。
アネサは完ぺきだったなあ・・・
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